経営改善に取り組みたいと考えたとき、多くの中小企業経営者が最初に悩むのは「何から手を付けるべきか分からない」という点です。
売上、利益、人手不足、新規事業、ブランディング──課題が複雑に絡み合い、優先順位がつけられないまま時間だけが過ぎていくケースも少なくありません。
本記事では、実際の中小企業支援の現場で行った経営改善プロセスをもとに、
①課題をどう整理し、②数値に落とし込み、③実行とブランディングにつなげていったのか
を、経営コンサルタントの視点から解説します。
経営相談の出発点は「課題」ではなく「事業の棚卸し」
多くの経営相談では、「利益が出ない」「忙しい」「先が見えない」といった“症状”が語られます。
しかし、実際の支援では、いきなり課題解決に入ることはほとんどありません。
まず行ったのは、事業の棚卸しです。
- どのような事業をいくつ抱えているのか
- それぞれの事業が、売上・利益・時間のどこを占めているのか
- 経営者自身が、どこに価値を感じているのか
これらを丁寧に言語化・可視化していきました。
この段階で明らかになったのは、
「経営課題」だと思っていたものの多くが、事業構造そのものから生じているという事実です。
複数事業を抱える中小企業が陥りやすい構造
支援対象となった企業は、いわゆる製造業でありながら、
- 受注型の既存事業
- 将来を見据えた新規事業
を同時に進めていました。
この構造自体は珍しくありませんが、問題は
それぞれを同じ判断軸で運営しようとしていたことにありました。
既存事業は「効率」「回転」「安定」が重要です。
一方、新規事業は「試行錯誤」「投資」「時間」が必要です。
ここを切り分けないまま進めると、
- 既存事業が疲弊する
- 新規事業が育たない
という状態に陥ります。
経営ビジョンと数値目標をどう接続したか
次に取り組んだのが、経営ビジョンの明確化です。
抽象的な理念ではなく、
「3年後、どのような経営状態でありたいのか」
を具体的に言語化しました。
重要なのは、ビジョンと数値を切り離さないことです。
- 売上はいくら必要か
- そのために、どの事業をどこまで伸ばすのか
- 人員・設備・外注はどう変わるのか
これらを同時に整理し、
実現可能性のある数値計画へと落とし込んでいきました。
数値は目標ではなく、意思決定の道具です。
この認識を共有したことで、以降の議論が大きく変わりました。
既存事業と新規事業を「分けて考える」
支援の中盤では、事業ごとの役割を明確に分けました。
- 既存事業:経営を支える土台
- 新規事業:将来の収益と価値をつくる投資
既存事業については、
「どの案件を受け、どの案件を抑えるか」
という選別の視点を導入しました。
一方、新規事業については、
短期的な売上よりも
「市場での位置づけ」「価値の伝え方」
を重視する方針を明確にしました。
ブランディングとマーケティングを経営課題として扱う
支援の後半では、ブランディングとマーケティングを
「広報」ではなく経営戦略の一部として整理しました。
特に重要だったのは、
- 誰に
- 何を
- なぜ選ばれたいのか
を一貫したストーリーとして整えることです。
Webサイト、展示会、営業活動は、それぞれ役割が異なります。
それらを整理し、経営方針とつながる形で設計していきました。
計画倒れを防ぐために行ったこと
どれほど良い計画を立てても、実行されなければ意味がありません。
そこで最後に行ったのが、
- 年次
- 月次
- 具体行動
まで落とし込んだアクションプランの整理です。
また、補助金や外部支援についても、
「使えるかどうか」ではなく
計画と合致するかどうかを判断軸にしました。
この支援プロセスが他の中小企業にも有効な理由
本記事で紹介したプロセスは、特定の業種に限ったものではありません。
- 課題を急いで解決しない
- 事業構造から整理する
- 数値とビジョンを接続する
これらは、多くの中小企業に共通して有効な考え方です。
経営改善とは、派手な施策ではなく、
経営者が「判断できる状態」をつくることだと考えています。
無料相談をご利用ください。
もし、
- 事業の整理ができていない
- 数値計画に不安がある
- 次の一手が見えない
と感じている場合は、一度状況を整理してみることをおすすめします。
無料相談では、本記事で紹介したような視点で、現状整理からご支援しています。