【サポート事例】既存事業依存から抜け出す方法:D2C物販メーカーの新規事業を伸ばした支援プロセス

既存事業依存から脱却する新規事業の伸ばし方:D2C物販メーカー支援の実行プロセス

「既存事業は回っている。しかし、この先も同じ構造で大丈夫なのか」
製造業の経営者の方から、こうした相談を受けることは少なくありません。

今回は、竹・木素材の製品を扱うメーカー(年商は数十億円規模、従業員は数十名規模)に対して、新規事業(自社ブランドの物販)を成長させるための支援を行ったプロセスを解説します。

支援テーマは、「既存事業への依存リスクを下げつつ、新規事業を3年で大きく伸ばすための事業計画と実行設計」でした。

この記事では、次のような方に役立つ内容を扱います。

  • 新規事業を伸ばしたいが、販路別の目標設計が曖昧なまま進んでいる
  • ECは伸びているが、広告・手数料・配送費が重く、利益が残りにくい
  • リアル出店に取り組んだものの、採算と運用負荷の読みが甘く疲弊している
  • 既存顧客のリピート(購入回数・関連購買)を仕組みにできていない

支援した企業の概要(匿名):業種・規模感・今回の相談テーマ

この企業は、竹・木素材の製品を扱う製造業です。既存事業はBtoB(業務用)中心で、特定顧客や特定チャネルへの依存が高く、外部環境変化が起きたときの経営リスクを経営者が強く意識していました。そこで、竹・木素材の新しい付加価値を訴求する自社ブランドの物販(主にEC)を新規事業として育て、事業ポートフォリオを組み替える方針を取っていました。

既存事業の構造的リスクと、新規事業に求められた役割

既存事業が強い企業ほど、新規事業は「売上を伸ばす」だけでなく、「将来のリスクを下げる」役割を担います。今回の相談もまさにそこにありました。
※既存事業が単一顧客・単一モデルに寄る場合、新規事業は“収益の柱を増やす”だけでなく、“価格決定力”や“顧客接点”を獲得する意味が大きくなります。

新規事業の販売構造(EC中心)と、次の伸びしろ

新規事業はEC中心に伸びていました。一方で、成長の次の壁は「新規流入を増やす」だけではなく、既存顧客のリピート設計、在庫・出荷体制、そして販管費のコントロールでした。


最初に行ったこと:売上を「販路×KPI×費用」に分解して見える化

新規事業の成長は、気合いよりも設計です。私が最初に行ったのは、売上を「販路別」に分解し、さらに「費用がどこまで売上に連動するか」を先に押さえることでした。

3年後目標から逆算し、販路別売上目標を置く

目標が「3年後に大きく伸ばす」であっても、販路別の売上目標が曖昧だと、施策の優先順位が決まりません。そこで、EC(国内/海外)、リアル(出店)、卸(法人)などの販路ごとに、売上目標を置き、達成手段を議論しました。

販管費(広告・手数料・配送・人件費)を“先に”押さえる

物販D2Cは、売上が伸びるほど費用も伸びます。特に、広告費、EC手数料、配送費は売上連動になりやすい領域です。支援の中でも、広告宣伝費は売上比率で見込み、配送費や決済手数料も連動する前提で収支を確認しました。


実行フェーズで効いた打ち手①:新規獲得より先に「リピート設計」

次に着手したのが、既存顧客のリピートです。理由は単純で、新規獲得はコストが上がりやすく、リピートは利益改善に直結しやすいからです。

メルマガを“行事・ギフト需要”のタイミングに合わせる

この企業は既にメルマガを運用していましたが、行事やギフト需要の「山」に合わせた配信設計が弱い状態でした。そこで、ギフト需要が顕在化するタイミングに合わせて、適切な商品情報を届ける設計を提案しました。

単品訴求から、関連購買へ拡張する

売れている主力商品がある場合、次に設計すべきは「合わせて買われる商品」と「次に買われる商品」です。単品訴求が強いと、購入点数が伸びません。そこで、用途を広げる提案(食卓のシーン提案など)を、サイトとメルマガで展開する方針を整理しました。


実行フェーズで効いた打ち手②:リアル出店は「採算」より先に「運用負荷」を数える

リアル出店(ポップアップ等)は、売上だけを見ると判断を誤ります。実際には、現場の運用負荷が増え、社内の重要人材の時間を奪い、全体最適を壊すことがあります。

ポップアップが赤字化しやすい典型パターン

支援先でも、ポップアップの複数展開は「店舗としての採算性に見合わない」「既存従業員のリソースを過度に使う」状況が確認されました。

この経験から、リアル出店は「売上」だけではなく、「社内工数」「教育負荷」「オペレーションの歪み」を含めて評価する必要があります。

やるなら「事前の見極め基準」を作る

同じ出店でも、固定費がほぼかからず売上が立つケースがある一方で、そうでないケースもあります。重要なのは、事前に「集客が見込めるか否か」を見極める基準を持つことでした。


実行フェーズで効いた打ち手③:ロジスティクスを仕組みにして、成長のボトルネックを外す

ECが伸びると、在庫と出荷がボトルネックになります。売上を伸ばすほど現場が詰まる企業は少なくありません。

在庫一元化と適正在庫のリアルタイム調整

支援先では、在庫管理を一元化し、必要在庫をリアルタイムに調整できるようにする取り組みが進みました。
この手の投資は地味ですが、成長期の事故(欠品、過剰在庫、出荷遅延)を減らし、結果的に利益を守ります。

店舗と物流の役割を組み替え、固定費を下げる発想

さらに、基幹店に物流機能を一部持たせ、販売員を多能工化することで、固定費を下げる運用形態も検討されました。

※この発想は、リアル店舗を「売上を作る場」だけでなく「全体の収支分岐点を下げる装置」として設計する考え方です。


ブランディングの実装:SDGsは「棚卸→紐付け→レポート→PDCA」で事業に入れる

SDGsは“きれいな言葉”で終わると、現場に効きません。支援では、実務に落ちる手順を重視しました。

社内合意形成から始める(理念と将来像の共有)

まず、企業理念を社内で再周知し、将来について従業員と協議すること。そのうえで、現状活動の棚卸を行い、SDGsと紐付け可能な箇所をリストアップしていく流れを提案しました。

宣言(特集ページ化)まで落とすと採用・販促に効く

最後は、取り組みをレポート化し、PDCAで改善につなげること。さらに、宣言(専用コーナー化)により情報を一元化し、商品訴求や採用にも生かす導線を作ることが重要になります。


今回の支援で得た学び(同業の経営者が再現できるポイント)

この支援を通じて、再現性が高いと感じたポイントは次の3つです。

  1. 目標は「販路別」に置き、費用は「連動費」から押さえる
    物販は、広告・手数料・配送費が売上に連動します。ここを見落とすと、売上が伸びても利益が残りません。
  2. 伸ばす順番は「新規」より「既存(リピート)」が先
    メルマガは“思いついた時に送る”のではなく、需要が顕在化するタイミングに合わせることで効果が出やすくなります。
  3. リアル出店は売上よりも「運用負荷」を評価軸に入れる
    採算だけで判断すると、重要人材の稼働が奪われ、成長が止まることがあります。

無料相談のご案内(貴社の数字に置き換えて整理します)

もし、この記事の内容を「自社の数字」に置き換えて整理したい場合は、初回30分の無料相談をご活用ください。

以下のいずれかが当てはまる方に適しています。

  • 販路別の売上目標が置けておらず、施策の優先順位が決まらない
  • ECが伸びているのに、利益が残りにくい
  • リピート施策を“運用できる形”に落とせていない
  • 在庫・出荷・店舗運営がボトルネックになっている

ご相談時にあると整理が早い資料(可能な範囲で結構です)

  • 直近3か月の月次P/L(売上、広告費、手数料、配送費、人件費が分かるもの)
  • 販路別売上(ざっくりでも可)
  • 既存顧客向け施策の現状(メルマガ頻度、配信内容の概要)