【サポート事例】製造業の営業資料を“コト売り”に変える方法:ターゲット設計と提案ストーリーの作り方

製造業の「モノ売り」を抜け出す営業ツール設計:ターゲット×工程×コストで価値を言語化した支援記録

製造業で「良いものを作っているのに、提案が価格勝負になる」という悩みは少なくありません。

原因の多くは、営業資料やWebの説明が“製品紹介”に偏り、顧客側の業務プロセスやコスト課題に刺さっていないことにあります。

この記事では、段ボール等の梱包資材を扱う加工系製造業(創業50年以上、従業員10名台、既存取引400社規模)を想定した支援記録として、営業ツール(パンフレット)と提案ストーリーを「課題解決型」に作り替えていったプロセスを紹介します。

なお「自社も同じ状況かもしれない」と感じた方は、読み進めながら自社の営業資料を見比べてみてください。改善の当たり所が見えてきます。

今回の支援先(業種・規模)とご相談内容

支援先は、梱包資材(段ボール等)を中心に、多品種小ロットの加工や、付随する作業(梱包・アセンブリ・配送等)まで柔軟に対応している加工系製造業です。

自社設備に加えて、協力先ネットワークも活用しながら、納期や仕様の振れに対応できる体制を持っていました。

一方で、営業面では次のような課題が顕在化していました。

ご相談の焦点(営業資料・ターゲット・Web導線)

  • パンフレット(営業資料)が“製品紹介”中心になり、価格比較に巻き込まれる
  • どの顧客に、どの案件条件で刺さるのかが言語化できていない
  • Webでも顧客起点の語彙が不足し、問い合わせにつながりにくい

今回の依頼内容は、端的に言えば「営業ツールを作り直し、狙う顧客と提案の筋を一本化すること」でした。

なぜ営業が「価格商談」に陥るのか

製造業の営業資料は、努力して作るほど情報量が増えます。

しかし、その情報が“製品スペック”に寄ると、顧客の頭の中では比較表が作られ、結果として価格交渉に引きずられます。

「製品紹介」から入ると起きること(モノ売り化)

最初にサービスや製品を並べてしまうと、顧客は「結局いくらか」「他社と何が違うか」を価格軸で判断しやすくなります。

すると、提案の主戦場が“価値”ではなく“単価”になり、価格商談に陥ります。

顧客課題を“工程”で捉えないリスク

もう一つの落とし穴は、顧客の業務プロセス(工程)を分解しないまま提案してしまうことです。

顧客が抱えているのは、材料費や配送費だけではありません。

梱包作業の手間、破損リスク、手戻り、クレーム対応、プロモーション期間の遅れなど、工程に紐づく“見えにくいコスト”が存在します。

ここを言語化できないと、「安いかどうか」以外で評価されにくくなります。

支援で行ったこと(再現できるステップで整理)

今回の支援では、パンフレットの文章表現を直すだけではなく、「誰に、何を、どう約束するか」を先に固めました。

順番としては、次の5ステップです。

ステップ1:ターゲットの再定義(業種ではなく案件条件で切る)

まず、ターゲットを「業種名」で切るのではなく、案件条件で切り直しました。例えば、距離・ロット・店舗数・納期などです。

ここを詰める狙いは2つあります。
1つ目は、現場の受け皿(生産能力・体制)と整合した案件だけを狙えるようにすること。
2つ目は、提案が刺さる案件条件を明文化し、営業資料の言葉を迷わなくすることです。

ステップ2:業務プロセスを書き出し、コスト課題を仮説化する

次に、顧客がインストアプロモーション等を実行する際の工程を、できるだけ具体に書き出しました。
例としては、企画→制作→梱包→保管→配送→店頭展開→撤去/廃棄、のように分解します。

そして、各工程で起きる“コスト問題”を仮説として整理しました。重要なのは、直接費だけでなく、間接工数やリスクコスト(破損・クレーム等)も含めて言語化することです。この時点で、提案は「製品」ではなく「工程の課題解決」へ移ります。

ステップ3:提案の根拠を、経営資源に紐づける

「できます」「安くできます」だけでは信用になりません。そこで、提案の根拠を、設備・人材・運営体制・協力先ネットワーク・立地などの経営資源に紐づけて整理しました。

たとえば「小ロットでも短納期対応できます」を言うなら、なぜ可能なのか(設備の融通、段取り替えのノウハウ、協力先連携、保管体制など)までセットで説明できる状態にします。ここが固まると、営業資料の表現が一気に強くなります。

ステップ4:事例を数値化する(削減効果を“納品物”にする)

支援先が目指したのは、単なる梱包資材の提供ではなく、顧客の実行コスト削減の支援です。であれば、事例では「何が、どれだけ減ったか」を示す必要があります。

売上などの結果指標を無理に書く必要はありません。代わりに、次のような指標を扱います。

  • 梱包作業時間(工数)
  • 破損率や手戻り回数
  • 配送形態の最適化による配送費
  • クレーム対応にかかる時間
  • 店頭展開までのリードタイム

数値化は、ヒアリングと簡易試算から始められます。事例が数値化されると、パンフレットの説得力が上がり、価格勝負になりにくくなります。

ステップ5:Webで拾うキーワード設計と導線改善

最後に、営業資料と連動させてWeb側も見直しました。ここでのポイントは、「自社が言いたい言葉」ではなく「顧客が検索する言葉」に寄せることです。

具体的には、サイト内のキーワード出現状況を確認し、顧客起点の語彙(工程、コスト課題、用途、案件条件)が不足していないかを点検します。そして、サービスページや事例ページの構成を、パンフレットの論理(ターゲット→工程→課題→解決→根拠→事例)に合わせます。

支援後に起きた変化(成果の捉え方)

今回の支援で重視したのは、「売上が上がった」といった結果ではなく、提案が強くなる“前段の成果”を確実に作ることです。

具体的には次の通りです。

完成物(アウトプット)

  • ターゲット(案件条件)の言語化
  • 工程別の課題仮説リスト
  • 営業資料(パンフレット)コンテンツの再設計
  • 事例を数値化するための観点整理
  • 取り組みの優先順位を持ったアクションプラン

意思決定と行動の変化

  • 「全部に対応」から「狙う案件条件を明確化」へ
  • 「製品紹介」から「工程課題のヒアリング」へ
  • 「単発の紹介手数料発想」から「長期の業務提携発想」へ

この変化が起きると、提案の質が安定し、問い合わせや紹介につながりやすくなります。

同じ悩みを持つ製造業が押さえるべき実務ポイント

最後に、同じ悩みを抱える製造業の方に向けて、実務上の要点をまとめます。

ターゲットは「業種」ではなく「案件条件」で切る

業種で切ると広くなり、資料の言葉が薄くなります。距離、ロット、店舗数、納期、取り扱い物の特性など、刺さる条件を先に決めると、営業資料の精度が上がります。

差別化は“設備”ではなく“工程のリスク低減”で語る

設備や加工方法の説明は必要ですが、それだけでは比較されます。工程上のリスク(破損、手戻り、クレーム、店頭展開遅れ)を減らせることを価値として提示すると、価格以外の評価軸が生まれます。

ご相談案内(営業資料・提案設計の支援)

もし、現在の営業資料が「製品紹介」中心になっていて価格商談が増えている場合は、資料の文章を直す前に、ターゲットと提案ストーリーの骨格から整えることをおすすめします。

私の支援では、次の順で整理します。
1)ターゲット(案件条件)の再定義
2)工程×コスト課題の仮説化
3)根拠(経営資源)への紐づけ
4)事例の数値化
5)営業資料・Web導線への落とし込み

「自社の場合、どこから手を付けるべきか」を短時間で整理することも可能です。

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