新型コロナの感染拡大による影響が長期化していることに伴い、政府は2020年1月28日に「令和2年度第3次補正予算」を可決・成立させました。
その中で、事業を転換する、新たな分野に進出する中小企業向け支援策として1兆1,485億円の予算額が計上されています。いわゆる「中小企業等事業再構築促進事業」です。
中小企業の業態・業種転換や事業の再構築に関するポイントをザックリと紹介します!
1.業態転換とは?
ビジネスのやり方を変えていくこと!
同じ商品・製品やサービスを扱っていても、ビジネスのやり方は企業によって異なります。このビジネスのやり方を「業態」と言います。そして、「商品・サービスの形態」や「提供・納品方法」、そして「販売・課金方法」などの変化を通じて、ビジネスのやり方を転換させていくことを業態転換と言います。
2.コロナ禍での中小企業の業態転換の事例
具体的にどのような業態転換が考えられるか、2つの事例で解説したいと思います。
その①製造業A社の場合
治療機器製造販売を行うA社では、コロナ禍において縮小する既存市場から新規市場への進出が急務でありましたが、これまでの属人的な御用聞き営業スタイルでは新規営業が困難であると判断しました。そこで、機能を絞った業界特化型の製品開発とともに、当社が高く評価されている治療ノウハウを活かして、ウエブサイトに専用ページを開設し、経営陣自らがオンラインセミナーの企画・運営を通じて、プル型営業スタイルへの業態転換を目指しました。現在、若手社員から専任担当を抜擢し、プレスリリース配信やSNSを活用しながら新規事業の認知度向上に取り組んでいます。
その②ベーカリーカフェB店の場合
郊外型のベーカリーカフェB店では、こだわりのベーグルが好評であり、これまでカフェテリア型の店内飲食中心の経営を行っていました。しかし、コロナ禍における店内飲食売上の減少に伴い、新しい需要開拓に着手せざるを得ない状況になりました。そこで、以前からの好評であった手土産サービスを強化し、瞬間冷凍設備の導入とギフト用ボックスのデザイン・制作を行うことで本格的なギフト商品を開発し、通信販売用ECサイト、そして広告出稿を通じて通信販売業への参入を図りました。
3.業態転換のポイント
顧客のニーズと自社の強みの再確認!
業態転換で重要なことは、「外部環境の変化によって生じた顧客のニーズや行動を把握する」ということです。昨今の場合、新型コロナウイルス感染症によって、顧客側のニーズがどのように変化し、どのような行動が行われているか、という視点を持つことが業態転換の大きなヒントにつながります。
また、「業態転換後も自社の強みが活かせるか」ということも重要です。これまで顧客に支持されてきたことは、業態転換後も取り入れていくことがビジネスの成功につながりやすいと考えられます。そのため、自社がこれまでどのような点で顧客に選ばれてきたのか、その特徴や強みを再確認してみてはいかがでしょうか。
4.業態転換の新補助金が出ます。
新型コロナにおけるニューノーマル(新しい生活様式)への対応は、経営にとって大きな危機ですが、業態転換を行う大きな機会とも言えます。
国や自治体からも補助金・助成金をはじめとした様々な支援策がありますので、新たなチャレンジを検討してはいかがでしょうか。
※当記事は、東商新聞0220号「業態転換特集」への寄稿記事を再編集いたしました。
中小企業等事業再構築促進補助金
事業再構築補助金は、新型コロナウィルスの影響で需要がなかなか戻らず、売上を回復することができない中小企業に対して、新規事業分への進出、新分野への展開、業態転換、事業再編といった思い切った挑戦を支援する補助金です。
経産省のホームページでは、新規事業分への進出、新分野への展開、業態転換、事業再編のイメージを以下のように示しています。
・⼩売店舗による⾐服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売上が減少したことを契機に店舗を縮⼩し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換。
・ガソリン⾞の部品を製造している事業者が、コロナ危機を契機に従来のサプライチェーンが変化する可能性がある中、今後の需要拡⼤が⾒込まれるEVや蓄電池に必要な特殊部品の製造に着⼿、⽣産に必要な専⽤設備を導⼊。
・航空機部品を製造している事業者が、コロナの影響で需要が激減したため、当該事業の圧縮・関連設備の廃棄を⾏い、新たな設備を導⼊してロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に⽴上げ。
当オフィスでも、支援方法が確定し次第、アナウンスさせていただきます。