経営者保証って、会社のために必要だけど、個人のリスクが大きすぎる気がする…。
保証を外せば、もっと自由に経営ができるのでは?
経営者の皆さん、こんな悩みを抱えていませんか?
この記事では、「経営者保証」の基本から、そのメリットや問題点、そしてリスク軽減のための具体的なステップまで詳しく解説します。
経営者保証は融資を受ける際の強力なツールである一方で、大きなリスクを伴います。
その仕組みを正しく理解し、効果的に対処することで、経営の自由度を大きく広げることが可能です。
1.経営者保証とは?
経営者保証は、法人が金融機関から借り入れを行う際に、経営者が個人としてその借入金を保証する制度です。
この保証によって、もし法人が借入金を返済できなくなった場合、経営者個人の資産が返済に充てられる仕組みです。
経営者保証の基本的な役割
金融機関が法人に融資を行う際、企業の財務基盤が弱いと「返済不能のリスク」が懸念されます。経営者保証は、このリスクを軽減するために設定されるものです。
具体例
- A社が2,000万円の融資を受ける場合、A社の代表であるBさんが経営者保証をつける。
- もしA社が返済不能に陥った場合、Bさんは自宅や預貯金など個人資産を使って返済しなければならない。
経営者保証のメリット
経営者保証があると、融資が受けやすいって聞くけど本当?
その通りです。
経営者保証には以下のようなメリットがあります。
1. 融資審査が通りやすくなる
法人単独では信用が不足していても、経営者保証をつけることで金融機関が安心し、融資が実行される可能性が高まります。
2. 融資条件の優遇
経営者保証をつけることで、低金利や長期返済などの有利な条件が適用されることもあります。
経営者保証の問題点
一度保証をつけたら、個人資産がずっとリスクにさらされるのでは?
そうです。
経営者保証には次のような問題点が存在します。
1. 経営者の個人リスクが高い
法人が返済不能になった場合、経営者の自宅や個人預金が差し押さえられる可能性があります。
2. 次世代への事業承継の障害
経営者保証があると、後継者がその負担を嫌い、事業承継が進まないケースがあります。
事例:後継者が保証を引き受けることを拒否し、結果的に事業を清算せざるを得なくなったケースも。
3. 経営の自由度の低下
「失敗したときのリスクが怖くて、新しい挑戦ができない…。」
保証があることで、経営者の意思決定にブレーキがかかることがあります。
経営者保証を外すための7つのポイント
経営者保証が外れれば、個人資産へのリスクが軽減され、事業拡大や資金調達の選択肢が広がります。
「リスクを軽減するには、何をすればいいの?」
経営者保証を外すために押さえておきたいポイントを紹介します。
1. 積極的にサポートする金融機関を選ぶ
経営者保証を外すことに前向きな金融機関を選ぶことで、交渉をスムーズに進めることができます。
現在取引している金融機関に対して、
他の金融機関が経営者保証なしでの融資を提案しています。
と伝えることで、より有利な条件を引き出せる可能性もあります。
2. 経営者貸付や仮払いを解消する
「経営者貸付」や「仮払い」が残っていると、法人と経営者の区別が曖昧に見られることがあります。これらを解消し、法人の財務状況を明確にしましょう。
3. EBITDA有利子負債倍率を10倍以内にする
EBITDA(税引前利益+利息+減価償却費)の指標が重要です。借入金の返済能力を示すため、倍率を10倍以内に抑えることを目指しましょう。
EBITDA(イービットダー)とは?
EBITDAは、「税引前利益(営業利益)+減価償却費+利息」のことを指します。
この数字が大きいほど、事業の収益力が高いことを示します。経営者保証を外す際には、EBITDAを基にした有利子負債倍率(負債÷EBITDA)が10倍以内であることが求められることがあります。
例
- A社のEBITDAが200万円、負債総額が1,500万円の場合: 1,500万円 ÷ 200万円 = 7.5倍 → 基準内
- 基準を満たすことで、金融機関からの信頼を得やすくなります。
4. 自己資本比率を高める
法人が単独で借入金の返済能力を持つと判断される目安として、自己資本比率20%以上が推奨されています。
これに向けた財務改善を行いましょう。
自己資本比率とは?
自己資本比率は、会社の資産に占める自己資本の割合を示します。
※会社の資産から自己資本を引くと、負債(借入など)になります。
自己資本比率=自己資本÷総資産×100%
自己資本比率が高いほど、外部借入に依存せず、経営基盤が安定していると判断されます。
5. 事業計画書を作成する
金融機関がリスクを取るためには、事業の将来性を理解してもらう必要があります。
具体的には以下の内容を盛り込んだ計画書を準備しましょう。
- ビジネスモデルの説明
- 利益の源泉
- 今後の成長戦略
6. 定期的な試算表提出と業況報告
毎月、金融機関を訪問して試算表や事業の進捗状況を共有することで、透明性を示しましょう。
この努力が信頼構築につながります。
7. 専門家に相談する
経営者保証を外すための作業は複雑です。
専門家に相談することで、手続きがスムーズになり、早期解決の可能性が高まります。
地域密着型のコンサルタントや士業の専門家を頼るのも一つの方法です。
経営者保証を外すメリットと次の一歩
経営者保証が外れると、経営者個人のリスクが軽減され、事業拡大や資金調達の選択肢が広がります。また、金融機関との信頼関係も向上します。
「何から始めればいいのか分からない」という方は、まずは専門家に相談し、現状を整理することが大切です。
当オフィスでは、千葉県内の中小企業を対象に、融資相談や補助金活用のサポートも行っています。
お気軽にお問い合わせください。
まとめ
経営者保証を外すためには、計画的な準備と適切な金融機関選びが必要です。
- 信頼できる金融機関との取引
- 財務状況の明確化
- 専門家の力を借りる
これらを意識することで、経営者保証を外すプロセスを効率的に進めることができます。
事業をさらに成長させるため、ぜひ行動を起こしてみてください!