仮面ライダー龍騎とレッドオーシャンについて考えてみました。

こんにちは。
親子丼が好きなのですが、日々依頼しても結婚10年間で1~2回程度しか親子丼を作らない妻を持つ中小企業診断士のよこやまです・・・。

仮面ライダー龍騎は狭き市場で対立する企業同士の黙示録と言える。

市場規模が限られたビジネスの世界の行く末はどうなるでしょうか?

チャン・キムとレネ・モボルニュは著作『ブルー・オーシャン戦略』にて、血みどろの競争が繰り広げられている市場のことを「レッド・オーシャン」と呼びました。レッド・オーシャンとは、市場規模に対して登場人物(事業者)が多く、競争環境が激化している環境を指します。

そして、レッド・オーシャンで戦うのではなく、競争のない新たな市場を創造するよう戦略を転換すべきだと説いています。

このようなレッドオーシャン市場を端的に示した作品として『仮面ライダー龍騎』を紹介したいと思います。

仮面ライダー龍騎はライダー同士の金網デスマッチ

(出典:仮面ライダー公式ポータルサイト『仮面ライダーWEB』 https://www.kamen-rider-official.com/)

『仮面ライダー龍騎』は2002年(平成14年)2月3日から2003年(平成15年)1月19日まで全50話で放送された平成仮面ライダーシリーズの3作目です。

今でこそ仮面ライダーは、毎年お決まりの連載シリーズになっていますが、当時仮面ライダーコンテンツは1年契約の単発モノだったらしく、本作はその中でも”外伝”的な位置づけとして制作されたようです。

「13人の仮面ライダーが自らの望みを叶えるために最後の1人になるまで殺し合い続ける」

という”ライダー同士の戦い”という破天荒なストーリー、

そして当時流行っていた「カードゲーム」の要素を取り入れた戦闘方法でバトルシーンが描かれています。

いわば、「仮面ライダー同士の金網デスマッチ」が全編に渡って繰り広げられています。

なお、いわゆる従来のヒーローのような主人公も、殺人を犯している人間も、悪徳弁護士も、「仮面ライダー」を名乗るという設定が「子供番組としては不適切である」という意見も新聞投稿などに見られていたようです。

テレビ版では、「ライダー同士の戦いを止めようとする」主人公が、各ライダーの様々な”望み”を知るうちに、葛藤を続け、最終話1つ前の第49話でモンスターから子どもをかばって致命傷を負い、力尽きて息を引き取るという衝撃的な終わりを迎えます。

しかし、スペシャル放送版や映画版においてはそれぞれ別の結末等があり、いわば龍騎は”リセットされる世界”で戦っているということも興味深い点です。

まるでレッドオーシャンである。

この作品の中で、主人公の城戸真司(きどしんじ/仮面ライダー龍騎)は、常に仮面ライダー及び自身の存在意義について悩み続けるのです。

「仮面ライダー同士が争うのはおかしい」、「でもそれで救われる命もある」・・・言ってしまえば、正義の在り方について悩むのです。

私はこのストーリーを見ながら、

まるでこれはレッドオーシャンの市場(限られた顧客市場)の中で、

企業がどのように正当性(自社の存在の必要性)を主張するかの叫びに見えました。

各仮面ライダーがそれぞれの正当性を主張しあうなかで、

争い、傷つきあい、そして友情が生まれながらもいずれ淘汰されているストーリーを、

家族が寝静まった深夜に人知れず涙を流しながら一気見しました。

レッドオーシャンの勝ち組は?

レッドオーシャン市場は最終的にどうなるのでしょうか?

龍騎のストーリーの中で、その答えの片鱗が最終回に凝縮されていました。

主人公城戸が努めているジャーナリスト通信会社「OREジャーナル」では、

城戸が仮面ライダーであったことが分かり、

これまでの経緯を総括するなかで、

以下のような記事をリリースするのでした。

仮面ライダーの戦いは・・・

「この戦いに正義は、無い。

 そこにあるのは、純粋な願いだけである。

 その是非を問える者は____」

というメッセージで完結するのでした。

なお、龍騎においては、最終的に一人の仮面ライダーに絞られ、

その願い(恋人の命を守る)を叶えるのでした。

レッドオーシャンの打開策とは?

では、実際の事業においてはどのようにレッドオーシャンを解決すべきでしょうか。

冒頭のチャン・キムとレネ・モボルニュは、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだと説いています。

そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」、あるいは新たに「付け加える」ことにより、それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だと主張しています。

例えば・・・

・QBハウス(1100円カット専門店)

・スマートフォン(音楽機能とPC機能を付けた携帯電話)

・カット野菜・フルーツ(スーパーにおける小包装生鮮)

・モスバーガーのファミリーセット(ハンバーガー3種類とポテト3個、ドリンク3個セット)

など、在りそうでないサービスによって、

身近なビジネスを刷新できないでしょうか?

『仮面ライダー龍騎』の世界では、

主人公は自らの死をもって、このレッドオーシャンに終止符を打つのでした。

しかし、現実の世界(社会)では事業継続性が求められます。

常にビジネスを見直し・模索していくことが必要だと思います。