商品やサービスの売り方でトレンドのプロセスエコノミーについて解説。
千葉県佐倉市の中小企業診断士の横山です。
商品やサービスの売り方でトレンドになっているのが、「プロセスエコノミー」という言葉です。
「プロセスエコノミー」とは、商品やサービスの制作過程までビジネスにしてしまう手法のことです。
そこでプロセスエコノミーとはどんなビジネスノウハウなのか、要点を3つにまとめて解説します。
商品やサービスの品質だけで勝負することが限界にきている
これまでは商品やサービスの熾烈な「品質競争」が繰り広げられてきましたが、すでに品質だけで勝負することは限界に達してきている世の中です。
各企業とも技術レベルが向上してある程度のノウハウが行き渡っているので、どの企業も一定品質の商品やサービスに仕上げることが可能です。
もしも品質が同程度の場合、消費者が購入の決め手にするのは価格です。
つまり価格の安さだけで、選ばれるものが決まってしまいます。
これでは単純な価格競争になり、各企業が疲弊してしまいます。品質だけで勝負することが限界に達しているのです。
この状況を打破するために生まれた発想がプロセスエコノミーです。
完成した商品やサービスの品質だけで勝負するのではなく、製作過程も含めて価値を上乗せします。
つまり消費者の判断基準に「どうやってできたのか」を加えるのです。そうすることでたとえ同じ品質の商品やサービスでも、他の企業とは違った価値を見い出せます。
品質だけの勝負にとらわれる必要がないため、中小の零細企業にも十分商機があります。
品質や価格と同様に、その商品やサービスが作られた工程(経緯)にも価値があるということですね。
製作過程を包み隠さず公開してSNSで発信したり・・・
「どうやってできたのか」に価値をおいてビジネスにする以上、従来とは違った考え方を持つ必要があります。
具体的には、製作過程を包み隠さず公開し、SNSなどで発信していくことも価値になります。
今はネットに誰でも参加できるコミュニティの場となるSNSがあるため、消費者が企業からの情報を簡単にキャッチできる時代になりました。
昔と比べてメディアの種類が増えたので、消費者に何かを伝えることは以前よりも簡単です。
SNSに製作過程の動画をアップすれば、それだけで製作による付加価値を商品やサービスに与えられます。
たとえば・・・、農家の生産する野菜はどうやってできたのか、家電メーカーの家電がどのようなアイデアをもとに誕生したのか、どんな人がどういう気持ちで商品を製作しているのかなどの情報を広く公開することが、プロセスエコノミーの第一歩です。
これらの製作過程に関する情報を受け取った消費者は、商品やサービスに対して共感しやすくなります。
今の時代は消費者も「どうやってできたのか」にこだわりますので、企業側もその要望に応えなければいけません。
その証拠に商品やサービス開発の裏側を見せるサービスを、有料で運営している企業まであります。
単に商品やサービスを利用できれば良いという時代から、製作過程まで注目される時代に変遷しつつあるのは明らかです。
プロセスの差別化を図る!
せっかくプロセスエコノミーに取り組んでも、結局同業他社と同じような製作過程では意味がありません。
ですので、プロセスエコノミーに注力する際は、明確な差別化を図ることが重要です。
たとえば、SDGsをコンセプトにして環境に優しい商品やサービスの製作過程を見せたり、開発者がどんな思いを込めているのかが余すところなく伝わるように工夫して発信したり、どういう社会の実現を目指して開発されたのかを明確にアピールするなど考えられます。
ただし、プロセスエコノミーは、企業のコンセプトや方針をダイレクトに反映させるため、中途半端に表面上だけ取り繕っても消費者に見抜かれてしまいますので、そこは十分気をつけないといけません。
世の中に商品やサービスがあふれている時代だけに、消費者はこれまでとは違った価値を求めています。
製作過程に価値が付く時代になったということを、強く意識する必要があります。
まとめ
商品やサービスの売り方で話題になっている、プロセスエコノミーの考え方について解説しました。
今は商品やサービスの持つ本質的な価値以外に、製作過程も価値に含めることができます。
つまり製作過程に明確なこだわりを持つことが、プロセスエコノミーの基本です。どんな経緯や製作過程で商品やサービスができているのか、これからの時代はそこがビジネスになります。
純粋な品質だけで勝負するわけではない分、中小企業にもチャンスがあります。