「もう家族に迷惑をかけたくない…もしも事業がうまくいかなかったら、自宅まで手放すことになるのでは…」
このような不安を抱えている経営者は少なくありません。
融資を受けるとき、金融機関から「経営者保証」を求められることがあります。これは、会社の借金を返せなくなったとき、経営者個人が責任を取って返済するという仕組みです。
つまり、社長が「連帯保証人」になるということです。
この制度は、金融機関にとってはリスクを減らす方法ですが、経営者にとっては大きなプレッシャーです。
だからこそ、最近ではこの「経営者保証」を外したいと考える経営者が増えています。
融資の種類と、経営者保証の外しやすさランキング
経営者保証を外したい場合、まず知っておくべきことは「どの金融機関から借りるか」によって、保証を外しやすいかどうかが変わるということです。主な融資のタイプは以下の3つです。
融資の種類 | 主な提供先 | 経営者保証の外しやすさ |
---|---|---|
① 日本政策金融公庫 | 国の金融機関 | ◎(外しやすい) |
② 保証協会付き融資 | 地方銀行+保証協会 | ○(やや外しやすい) |
③ 民間金融機関のプロパー融資 | 地銀・信金など | △(難しい) |
日本政策金融公庫と保証協会の融資には、「経営者保証不要制度」という仕組みがあります。これを使えば、一定の条件を満たすことで、連帯保証人にならなくても融資を受けることが可能になります。
日本政策金融公庫で経営者保証を外すには?
日本政策金融公庫では、主に以下の4つの制度で経営者保証を外すことができます。
- 新たに事業を始める方や、税務申告を2期終えていない方向けの融資
- 生活衛生改善貸付
- 小規模事業者向けの「マル経融資」
- 経営者保証免除特例制度(実務上で最も使われる)
特に「経営者保証免除特例制度」は重要です。
この制度を利用するには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 財務状況が健全である(債務超過でない)
- 返済能力がある(営業利益やフリーキャッシュフローがプラスである)
- 適切な経営を行っている(税金をきちんと納めている、帳簿管理ができている)
条件を満たせば、新たな融資だけでなく、既存の借入の借り換えでも保証を外すことができます。
信用保証協会の経営者保証不要制度の使い方
信用保証協会でも、経営者保証を外すための制度がいくつか用意されています。
- 創業融資制度(創業から5年以内)
- 経営者保証免除対応制度
- 事業承継特別保証制度
- 金融機関関連型
- 財務要件型
- 担保充足型
例えば、「財務要件型」では、自己資本比率が高い(15%以上など)といった条件を満たすことで、保証が不要になるケースがあります。
また「担保充足型」では、不動産などで十分な担保を提供できると、保証を外せることがあります。
ただし、保証協会は各地域(都道府県・政令市)によって制度の詳細が違う場合があります。利用前には、必ず各地域の保証協会に確認をとることが重要です。
制度を活用するための実務ポイント
経営者保証を外すには、「制度を知っている」だけでは不十分です。どの制度を使えばよいのか、事業の状況と照らし合わせて選ぶ必要があります。
【実務でのチェックポイント】
- 自社の決算書を見直す(債務超過や赤字ではないか)
- 必要書類を整える(試算表・納税証明書・経営計画書など)
- 地元の商工会議所や中小企業診断士など、専門家に相談する
経営者保証を外せば、心理的な負担が大きく減ります。資金調達もスムーズになる可能性がありますので、早めの対策をおすすめします。
経営者保証が外れると、社長の心理的負担が減り、資金調達も有利になります。
制度は知っているだけでは意味がありません。自社に合った方法でしっかり活用しましょう。